にいがた朝ごはん

越後長岡の奥座敷がもてなす春の香り 山里のぬくもり 長岡野菜の味噌漬け・味噌漬けのタタキ

かしまし女将が心を込めたおもてなし

女将たちが女性の視点で見極める

和やかに時には楽しそうな笑い声まで聞こえてくる開発会議をしているのは、蓬平温泉女将の会、通称「よももの会」のメンバー。「よもも」とは?
地名の「よもぎひら」と、「花の郷蓬平」を目指し、近年桃の木等の植樹活動を行っていることから「もも」の二つの言葉を合わせた造語だそうです。「私達みたいに可愛い名前でしょ」と女将は笑いながら教えてくれました。そんな明るく楽しい女将達の春のコンセプトは、新メニュー開発ではなく「すでに地元で親しまれているメニューで、お客様におもてなしをしたい」。微笑みが絶えないかしまし女将のにぎやか会議で決定したのは「タタキ」。「え、山の中で“タタキ”ですか?」の問いに「蓬平では昔から食べられている馴染みの献立ですよ」と、にっこり。さてさて、長岡の山の中でいただく「タタキ」とは何でしょう。

威勢よくトントントン!が料理名に

叩く事によって引き出される旨み 蓬平の「味噌漬けのタタキ」

メニュー名の響きに戸惑いながら詳しいお話を聞くと、それは長岡の家庭で昔から響く音に由来するそうです。「野菜のきざみ味噌漬けと思ってください。地元のおかあちゃん達が包丁で威勢良くトントントンと叩いてつくる漬け物なんです。ですから、他の地域ではきざみ漬けとか、きりあえと表現しているところもあるようです。でも、ここでは昔からタタキと呼ばれてます。言い方だけかと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。叩くようにして刻む味噌漬けは、野菜の味を馴染ませて独特の食感を出すんです。だからタタキという響きにはこだわりたいですね」。金内さんは昔を懐かしむように説明してくれました。

肥沃な大地が育む独特の食感と風味の「長岡野菜」

風前の灯火から息を吹き返した、今後が期待される野菜ブランド

味噌漬けのタタキに欠かせないのは旬の野菜。それも長岡ならではの「長岡野菜」です。夏の高温と通年の多湿、冬の豪雪、そして豊かな水量の信濃川が育んだ肥沃な土壌でつくられる、独特の食感と風味を持ち合わせた自慢の伝統野菜は、戦前より永らく愛され続けてきましたが、一時は風前の灯火になってしまった こともあったとか。それでも地元有志が精力的に種の保存と生産量・消費の拡大、そして料理教室等を行い、現在では「長岡野菜ブランド協会」を立ち上げるなど普及に努めており、今後が期待される野菜ブランドなのです。

歴史と伝統技術、醸造の町で産まれた絶品料理

越後長岡の奥座敷がもてなす春の香り 山里のぬくもり 長岡野菜の味噌漬け・味噌漬けのタタキ

受け継がれる料理の味わいと人との絆

2丁寧に育てられた長岡野菜を味噌漬けとして昇華させるのは、これも長岡ならではの伝統調味料。摂田屋、星野本店の味噌です。旧三国街道沿いに位置する摂田屋は江戸の頃より栄え、今も酒、味噌、醤油などの醸造技術が脈々と受け継がれています。その中で、某有名漫画にも登場したことのある創業百五十年の老舗、星野本店の味噌と味噌漬けが今回のタタキには欠かせないものとなっているのです。「一言で語るのは難しいですが、私も母や年輩の方から『米、酒、醤油、味噌の仕入れを変えてはいけないよ。受け継がれる料理の味わいも変わるし、人との絆も大切にしなければ』とよく言われましたね。それだけ信頼しておつきあいしているところですから、美味しさは間違いありません」と、太鼓判です。
伝統の長岡野菜に摂田屋の味噌と味噌漬け。星野本店の味噌漬けに惚れ込み、そのまま提供してお土産としても販売する宿、独自の仕込みで味噌漬けやタタキをつくって提供する宿、味わいは宿によって異なりますが、想いはひとつ。「長岡蓬平のおかあちゃんの味を朝ごはんとして楽しんでください」。

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