旅館の使い方



写真:越後長野温泉 嵐渓荘ホームページより

新潟の宿の使い方

私は、新潟県で生まれ育ち、25年間で世界32か国の温泉を訪ねました。由緒あるホテル、個性的な宿など世界中の宿泊施設を体験してきました。国内の宿には、もう年がら年中泊まっています。

旅をすることを生業としている私が見た故郷・新潟の宿の特徴って、なんだろう――。

真っ先に頭に浮かぶのは、ロケーションの豊かさです。越後山脈をはじめとする山々あり、日本海に面し、日本一の大河・信濃川も流れている。積雪の多い中越地方、越後一宮・弥彦神社では秋は菊祭り、上越地方(高田)の夜桜と花も咲き、こうした異なる環境が、四季折々で美しい景観を織りなします。

そう、新潟県では、あちこちで自然を近くに感じられる絶景の宿が存在するのです。

大地の恩恵という点なら、新潟は素晴らしい「温泉大国」です。
意外と知られていませんが、新潟県は144もの温泉地を有し、その数は全国第3位を誇ります。例えば新潟県上越地方の妙高温泉は「七五三の湯」を謳い、7つの温泉地 (赤倉温泉、新赤倉温泉、池の平温泉、妙高温泉、杉野沢温泉、燕温泉、関温泉) 5つの泉質(単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、硫黄泉)3つの湯色 (透明以外に、白、赤、黒)を愉しめます。 これも「須弥山」の愛称で親しまれる妙高山がもたらす恵みです。


写真:越後長野温泉 嵐渓荘ホームページより 国登録有形文化財のお部屋

写真:越後長野温泉 嵐渓荘ホームページより

もちろんその自然の豊かさは食にも現れています。
お米の美味しさや、端麗辛口の地酒は言わずと知れた話ですが、実は新潟は、県内で生産されたものを県内で消費する傾向が強く、県外にはさほど出まわらない食がたくさんあります。その筆頭は茄子! 日本一の生産量を誇る茄子は、新潟県民の夏の食卓に必ずといっていいほど並びます。朝採れの茄子の浅漬けの瑞々しいうまさったら。加えて枝豆も! 作付け面積日本一の新潟では、枝豆はひとり丼1杯制(勝手に命名)。飽きるほど食べても、また食べたくなる美味しさ! これも、新潟ならではでしょう。
秋には、菊のお浸し、村上三面川の鮭、五泉の里芋、新米、新酒……、冬に入る頃には細かく刻んだ根菜が入った郷土料理のっぺい汁が出てきます。

新潟の宿の特徴は県内需要が高いこと。県民が県内の宿に泊まる、あるいは宴会をするのがごく普通の使われ方なのです。
そうした県民が使う宿は、土地で採れた食材を、その土地の食べ方で出している所が多く、ひょっとしたら丼で枝豆を出してくれるかもしれません。茄子の浅漬けが出ることもあるでしょう。そのような土地の素材を活かし、ご飯にあう惣菜1品を出す動きは2011年9月スタート時から「朝ごはんプロジェクト」として盛り上がり、それが全国に波及しました。昨今のホテルの朝ごはんブームに火をつけたのは、実は新潟だったのです。
ですから、メディアによく出てくる名旅館だけではなく、県民が利用している民宿のような宿に泊まるのも一興です。県外に出まわらない食材を楽しめる可能性が高いですよ。


写真はイメージです。

土地の人と会話してみてください。宿に泊まれば人情家の女将がいます。働き者の旅館オーナーがフロントに立っているかもしれません。一言交わすだけでも人柄の良さを感じるはずです。

少し前になりますが、2004年の新潟県中越地震で、被災した地域を支援するために入った自衛隊の皆さんが「外で作業していたら温かいおにぎりを持ってきてくれた。被災した人から優しさをもらった」という美談を聞いたことがあります。新潟ならば実はさもありなんのエピソードです。

そういう優しさにあふれた人たちが営んでいるのが、新潟の宿。
あなたを待っています。
深く豊かな宿泊体験をお約束します。
そしてきっと“新潟ファン”になるはずです。


山崎まゆみ
温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)

現在32カ国の温泉を訪問。日本の温泉文化の発信に貢献しているとして2008年に国土交通省からYOKOSO!JAPAN大使(現・VISIT JAPAN大使)に任命。観光庁や地方自治体の観光政策会議の委員も多数歴任。「新潟県の魅力を考える懇談会」に委員として参画し、「新潟プレミアサロン」のコーディネーターを務める。
近年は「高齢者や身体の不自由な人にこそ温泉」を提唱し、バリアフリー温泉・親孝行温泉を紹介。『行ってみようよ!親孝行温泉』(昭文社)、『温泉ごはん 旅はおいしい!』(河出文庫)、『女将は見た温泉旅館の表と裏』(文春文庫)など多数。NHKラジオ深夜便に出演中(毎月第4水曜日)



旅館の楽しみ方

浴衣を楽しむ


浴衣とスリッパのままで館内は歩けます。
館内に売店のある場合、館内に飲食店がある場合も、浴衣とスリッパのままご利用いただけます。
浴衣とスリッパのままでは建物の外に出てはいけません。
※旅館によって異なる場合がございますので、係員にご確認ください。

温泉を楽しむ


いきなり湯船につからずに、まずは身体にお湯をかけて汗を流してからつかります。
その後、顔や身体を洗い、再度ゆっくりお湯につかりましょう。
※湯船にタオルを入れてはいけません。
※お風呂で飲食をしてはいけません。




浴槽に入る前に、身体にお湯をかけます。まずは身体をきれいにしましょう。

お湯につかってリラックスしましょう。

洗い場で身体や髪を洗います。

再び浴槽につかり、しっかり温まりましょう。

タオルで身体を拭いて上がります。

※お風呂にはタオルを1枚持って入ります。身体を洗ったり、入浴後に軽く水気を拭いたりするのに使います。


温泉で気を付けるべきこと

・浴槽にタオルを付けないようにしましょう。
・浴槽で泳がないようにしましょう。
・体調のことを考え、飲食後や食事の直後は控えましょう。
・シャワーを使う時は、周りの人にかからないようにしましょう。



お料理を楽しむ


お食事は旅館によって部屋食、広間食、別途食事処の利用等違いがございます。
また、夕食と朝食で食事場所が異なる場合がございます。
お部屋へご案内後、客室係よりお食事場所についてご案内があります。




写真:越後湯沢温泉 松泉閣花月ホームページより


(1)先附(さきづけ):料理の一番最初にでてくる物
(2)前菜(ぜんさい):海の物と山の物を盛り込んだ物 ※八寸(はっすん)ともいう
(3)向附(むこうづけ):刺身の盛り合わせ
(4)煮物椀(にものわん):煮物
(5)焼肴(やきざかな):魚やお肉を焼いた物
(6)合肴(あいざかな):焼物と炊き物の間に出す料理
(7)強肴(しいざかな):酢を使った料理
(8)焚合せ(たきあわせ):魚や野菜を焚いた物
(9)水物(みずもの):果物・デザート

街歩き・アクティビティを楽しむ


・地元の魅力発見
・特産品を見つける
・酒蔵巡り
・着地型観光を楽しむ
など

※上記一部の写真はイメージ写真となります。


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